東ドイツ国鉄
VT18型気動車
旧東ドイツ国鉄の威信をかけた特急列車
拙者にとって東ドイツ入門書となった
「ニセドイツ1〜東ドイツ製工業製品」、旧
東ドイツ国鉄の説明が数ページにわたってあるのだが、写真を見て一目惚れした車両がある。先頭車両は優美なボンネット型で、塗装はドイツらしいマルーンとベージュのツートンカラー。VT18.16と命名された列車である。
あまりにも優美なデザインなので、拙書「
サキ子への伝言」の表紙にも使うことになった。もちろん、作中にも登場してもらうことになる。其のストーリーはこうだ。
日本が南北に分断された「もう一つの戦後世界」〜雪豹と恐れられる女独裁者が統治する日本民主人民共和国では、本州企業の協力により旧東ドイツ製特急型気動車の復活プロジェクトが始動していた。南北協力の拡大により日本再統一の機運が高まるが、大日本復活を恐れる周辺国の露骨な干渉により、極東に戦争の危機が迫る・・・
核戦争三部作、と銘打ったシリーズの第三部であります
(当管理者の小説コーナーはこちらから)。ちなみに、画像の車両は当管理者が保有するNゲージであります。詳しくは↓から。
断固として買ったVT18
どうしてもこの車両のNゲージが欲しくて、あちこち探し回った。そしてとうとう見つけたのは、数年前にKATOがドイツで発売したと思われる
「エルンスト・テールマン号」と云う製品。もう在庫も僅かのようで、迷わず買った!
むむっ、中間車に大書きされている横文字は何だ?恐らく第一線から引退して「エルンスト・テールマン号=
社会主義青年団体専用車」となってからの編成なので、専用車であることを示す文字なのだろうか?現代のラッピング車を彷彿とさせる雰囲気だ。
もちろん説明書は基本ドイツ語。これ買う人って、ドイツでも相当のマニアかオスタルギストさんなのだろう。
一日中眺めて居られる優美さ
見てくださいよこの優美な流線型!先頭車の大きな特徴は、船のキャビンを思わせる丸窓であろうか。車体の随所に専用車を示す装飾やらが飾られていて、
オスタルギー感満載の車両である。
電気機関車と思われるマークも精密に再現!ドイツ国鉄を示す
「DR」のマークもある。西ドイツは
「DB」だったような。
中間車の文字列が謎
「Zentrales Jugendobjekt」→
「中央青年団」としか訳しようがないな。社会主義青年団体専用車であることをアピールしている訳だ。Elektrifizierung von Eisenbahnstrecken 是が長い綴りで厄介なんだけど、直訳すると
「鉄道路線の電化」なんですよ。そもそもVT18はディーゼル気動車だ。東ドイツ政府は国鉄の電化を推進してますよ!と云うアピールなのか、単なる言い訳なのか、どちらかであろう。
見てのとおり中間車は「ただの客車」と云う雰囲気が漂う。如何にも欧州の鉄道車両だ。
エルンスト・テールマン号と云う名前自体が実は恐怖でしかない話
エルンスト・テールマンとは、歴史上の人物名である。第二次大戦前からドイツ共産党のリーダーとして党を率いたが、ナチスに敗れると同時に逮捕された。1944年8月18日、ブーヘンヴァルト強制収容所にてナチス親衛隊に処刑されている。其の悲劇的生涯は、戦後の東ドイツ政府にとって格好の宣伝材料だったらしい。陸軍士官学校、警察学校、人民公社の車両工場等、公共施設にやたらめったら彼の名前を付けたがった。気持ちは分かるが、彼の本質は極端なスターリン主義。ヒトラーの代わりに彼が天下を取っていたら、ドイツ国内はやっぱり強制収容所だらけになっていたことは想像に難くない。そんな人物の名前を載せた此の列車は、或る意味呪われている。仕方ないから拙者が棺桶まで運命を共にするとしよう。
↑車両の撮影会場となりました。
爆走!エルンスト・テールマン号
東ドイツ国鉄VT18型気動車
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