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ネット界はもはや東独状態?

ネットに個人情報を晒す=シュタージ本部前で拡声器で叫ぶのと同じ?

 シュタージとは、社会主義国家であった旧東ドイツ国家保安省の秘密警察のことだ。歴史上有名なゲシュタポ(ナチス・ドイツの秘密警察)や、KGB(ソ連の秘密警察)を超えるぐらいの徹底した監視網を作り上げ、国民を恐怖に陥れた。その内実を描いた 映画「善き人のためのソナタ」 が日本で公開された恐らく前後ぐらいだが、こんなことがあった。

 日本人観光客が、イタリア国内の世界遺産にも登録されている寺院で落書きをした。一人や二人ではなかった訳で、そのことがインターネット上の話題となり、犯人探しが過熱化。たまたまその中に「そこそこ有名な高校野球部の監督」が含まれていたことで、その監督さんが後に解任されるという事件が起きた。

当時のJ−CASTニュースによれば、

 発端は、○○短大の学生の落書きが学校に通報され、大学が謝罪したと報じられたこと。続いて、○○大学の学生の名前も出て、さらにネットに名前が入った画像が掲載されると、これが○○県の私立高校の野球部監督と一致した。

これらはいずれも、デジカメの産物だ。落書きは昔から世界中にあって、別に日本人だけではないのだが、フィルムカメラでこんなものを撮影する人はいなかった。ところがデジカメはいまや、完全なメモ代わり。メールで送るのもネットに載せるのも自在だから、後の旅行者の目に止まったのが不運といえば不運。

この監督は、2年前に新婚旅行の際書いたもので、ハート型のなかに夫妻の名前があって、たしかに目をひく。だれが撮ってネットに載せたのかは分からないが、ひとたび載れば、物好きはいる。たちまち人捜しが始まって、その際奥さんの名前が、動かぬ証拠になったという。それを見た人が○○県高野連に知らせた。


 「世界遺産に落書き→野球部監督をクビ」・・・当のイタリア社会では、はるか極東の島国で繰り広げられた騒動を理解できないでいたらしい。それは、最も多い落書きがイタリア人によるもので、その寺院ではあらゆる言語の落書きで埋め尽くされていた訳である。そして、観光客目当てに「名前を書けば幸せになれる」などと、サインペンを売る商売まであった。結局のところ、その監督さんは、現地人の言うことを真に受けて名前を書いたが故に、職を失うことになったのだ。

 もちろん、落書きをすることは悪い。味わい深いのは、「現地の警察当局が捜査している訳でもなく、現地の管理者から特段の懸念が出ていた訳でもないのに、わざわざ捜し出し、本人を特定し、追い込むという行為までやってくれている人がいる」ことである。恐らく、インターネットの力無くして、このような流れは不可能であっただろう。

 要は、地球の裏側に居ても同じ国民が監視し、スキあらば告発してくれる・・・旧東ドイツのシュタージでは、膨大な人数の協力員を抱えていたというが、ここまで優秀な協力員を育成できはしなかったろう。
 地球の裏側でちょっと名前を書いただけで、あっと言う間にインターネット空間に晒される。ということは、インターネットで個人を特定する情報を晒すことは、もっともっと危険であることを物語っている。

 2013年、「バカッター」という言葉がネット上を駆け巡った。やんちゃな行為をした若者達が、その様子をツィッターでつぶやいてしまったために、閲覧者によって個人が特定され、炎上してしまったのだ。やんちゃな行為自体は、恐らく昭和の時代もバブルの時代も、いくらでもあっただろうが、昔はその場に居合わせた人が通報しようにも、口で修飾語を駆使して伝えるしかない。今や一人一台カメラ付ケータイや「スマホ」を持つ時代。自分でネット上で自慢すれば、あっと言う間に「炎上」してしまうし、目撃者がデジカメ撮って動かぬ証拠をネット上で晒せば、たちまち閲覧者達によって個人を特定されてしまう。見事な監視網ではないか!バカッターの皆さんは、「旧東ベルリンの真ん中で、ホーネッカーのハゲ!くたばれ!と拡声器で叫んでいるのと大して変わらない」のだ。

  東ドイツおたくなページ〜「東独オスタルギー」 はこちらから・・・


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