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消防設備士〜乙種6類

消防設備士〜乙種6類を勉強する

相模原市消防局の華やかな消防出初式を観て、何かに感染してしまった自分も単純な人間だが、どうも赤いものが気になって仕方ない。ネットで調べたりしているうちに、消防設備士と云う資格があることを知った。消防設備と一口で云っても、スプリンクラーや火災報知器など、様々な種類がある。まず、消防設備士には「甲種」「乙種」がある。甲種は、消防設備の工事と整備が出来る人、乙種は消防設備の整備だけ出来る人、と階級がある。スプリンクラーとか消火栓とかの各種消防設備は甲種と乙種があって、乙種でも何だか難しそうだ。目にとまったのは「乙種6類:消火器」であった。消火器は「甲種」がなく「乙種」のみがある。

消火器は、素人が何とか触れそうな存在で、おおよその見当がつく唯一の消防設備。ただ、素人でも何とかなりそう、と云っても、拙者はまともに触ったこともない。
 ある火事のニュースがあって、消火器を使おうと思ったら「何も出なかった」と云う話が載っていた。一度ボヤを起こして消火器を途中まで使ったが、途中まで使ったから「また使えるだろう」とそのままにしていてたらしい。さらに、消火器が古くなった為に事故が発生したことも知った。古い消火器を処分しようとして噴射させようとしたら、底が抜けて容器が体に激突したと云う。容器の底が錆び付いていたのが原因だった。

家にあった「年代モノの消火器」〜業者さんに処分を依頼しないと・・・

  

*典型的な「粉末ABC」だけど、いまどきの安全栓↑は黄色のリングを引っ張る仕組み。
消火器のことが頭から離れなくなってきた。街中を歩いていて、あった!消火器が!しかも駐車場に放置されている。見事に錆付いている。爆発するんじゃないの?会社の中に設置している消火器もまじまじと見つめてみる。自社ビルだから、我々が消防設備点検報告をせねばならない。点検報告とか、消火器の設置基準とか、是まで気にもしたことが無かった。そもそも消火器のレバーを握ったこともないのだ!

 とにかく本を買って勉強を始める。勉強を始めて「ちょっとナメてかかってたな」と後悔した。いきなり「ボイルシャルルの法則」「加速度」「許容応力」と、これは物理の勉強ではないか!高校の物理の授業以来、数十年ぶりである。気が動転するほどびっくりした。消火器は圧力で噴射するから、気体の性質・金属容器の性質などを熟知しなければならない。確かに、圧力や金属の錆付きについて意識していれば、古い消火器の扱いをどうすべきか分かってくる。なるほど。
 消防関係法令も、全く是まで意識もしてないことだった。会社の上司が防火管理者で、講習を受けさせられた、なんて話をしていた。もともと火事を起こすような会社じゃないけど「消防局が査察にくる!」と前日になって上司と階段のところの荷物を整理したのを覚えている。あらかじめ非常口までの「逃げ道」を確保しなければならないのだ。荷物の整理整頓をするか。

特殊営業ってなに?

うちの会社はただの事務所に分類されるけど、小売店など不特定多数の人が出入りする建物は、消火器の設置基準が厳しい。建物の用途によって消火器の設置をどうするか、是を覚えなければならなくなった。試験では「病院で○○平方メートル以上だと、消火器が幾つ必要か?」等の問題が出る。常識的に「火事の起きそうな感じの建物」をつかんで行くことになるのだが、もっとも規制が厳しい建物は、繁華街にある建物だ。劇場・キャバレー(死語?)・ダンスホール、極めつけは「性風俗関連特殊営業を営む店舗」〜役所は威厳がなくっちゃならないから、むやみに漢字と音読みを多様する傾向があるが、「特殊営業」ってつまり何なんでしょうかね。

容器をひっくり返して使う消火器?普通分からないでしょ

消火器の種類も、まことに沢山あることを学んだ。我々素人が抱いている消火器のイメージ、其れはガス加圧式粉末消火器と云うモノ。レバーを引いたら、ガスが入っているふたに穴が開き、ガスが消火薬剤と共に噴出される形式。粉末ABCであるが、
A=普通火災、B=油火災、C=電気火災、これら3つに対応できるから「ABC」
なんて云われてる!


 マイナーな消火器もある。容器をひっくり返すと、中の薬剤が化学反応して消火薬剤が噴出するやつ。あらかじめ説明されないと、ひっくり返す行為を行えない。車輪のついた消火器もある。大容量だから車輪がついているのだが、車輪がついてる=大型消火器、ではなく、大型消火器の企画は薬剤の量で決まるからややこしい。もう頭が混乱してきた。

典型的な「粉末ABC」消火器〜圧倒的に数が多いのでこれをマスターすればOK(当時は!)


*基本は「黄色い栓を抜く」→「ホースを外して火元へ向ける」→「レバーを握る」が基本。

だんだん目が肥えてきた

寝ても覚めても消火器、夢にまで出て来た消火器(笑)、教科書を読んでるうちに、だんだん目が肥えてくる。初め、消火器なんてみんな同じに見えたのだが、「これは蓄圧式機械泡消火器」「これはハロン1301消火器」などと、マニアックなモノまで判別できるようになる。本で読む限りのことだから、実際目にする機会が無いのが惜しい。工事現場に、車輪のついたガスボンベがあって、「これは大型消火器なのか?」と一人で考え込んでる拙者〜そう云えば数年前、社会保険労務士の勉強をしてて、やっぱり工事現場の前で「労災保険関係成立票」に見入っていたことを思い出す。労災保険なんて忘れてしまったなぁ。
 消火器の点検整備〜これもかったるい科目だ。文だけ読んでいても、イメージが湧いてこない。実物を解体できれば理想的なのだが。よく出る問題に、使用済み表示が必要な消火器を挙げる問題。レバーを握ったら、使用済み表示が下に落ちる仕組みになっているのだが、この表示をつけなくてもいい消火器がある。
指示圧力計のついている消火器は、指示圧力計の指針が下がることで使用済みであることが確認できる。
バルブの無い消火器は、一度放射すると全て無くなって空になるので、使用したことが明らかに確認できる。


んなこと、普通の人は分からないんじゃないの?と思うが。点検整備の実務は、此の表示が抜け落ちていることで、容器内部を点検せねばならない場合もあるから、ややこしい。

  

*珍しい粉末ABC消火器。「押しボタン」を叩くことでガスが加圧される。小型消火器に多い規格。

いよいよ願書提出!

そうこうしてるうち、そろそろ「願書」を出さねばならない。まず願書の入手先だが、近くの消防署で入手することが出きる。相模原消防署で願書をもらってきた。消防設備士の試験日程だが、各都道府県毎に違っている。残念ながら、神奈川県は実施回数があまり多くない。天下の東京都は、かなり頻繁にやっている。東京で受けることにした。消防設備士の試験は何処の県で受けてもかまわないそうだ。乙種は受験にあたって年齢制限も無い。

 願書を書いて写真を貼る。此の写真だが、試験当日の写真票として利用するだけでなく、合格後に交付される免状にも使われる。もっとマシな写真を貼ればよかったと後悔している。此の手の証明写真の出来の悪さは、指名手配犯のごとき形相となるのは常だが、指名手配どころか刑務所に収監されてるみたいだな、とトホホ感さえ漂う。郵便局へ持って行って支払を済ませて願書を出す。願書を郵送すべき時期が、日数的に短いので注意を要する。

消防設備士〜乙種6類を受験する

(財)消防試験研究センター中央試験研究センターが東京会場だ。小田急代々木上原駅から15分くらい歩くと、東京消防庁の研修施設みたいなところへ着く。消防車があちこちに並んでいて、かなり大規模な施設だ。其の敷地の中に試験会場があった。試験会場の部屋は、運転免許試験場に近いような雰囲気である。しかも受験する人は、みんな限りなく男ばっかり。明らかに高校生らしき集団もいた。工業高校によっては、今のうちに乙種を受けさせるところもあると云う。消防団風の服装の人、明らかに点検業者さんと思われる人も大勢いた。

実技試験でかなりの時間を割く

さて、試験問題と回答用紙が配られる。筆記試験は、消防関係法令、機械に関する基礎的知識、消防用設備等の構造・機能・整備の計30問。是はマークシート形式だ。実技試験は、鑑別等の記述試験が5問出題される。1時間30分の間に筆記+実技の問題を解くのだが、時間配分は自由となっている。実際やった感じでは、実技試験に多くの時間を割いていた。
 筆記は、選択肢が4つあるものから選ぶやつ。これは勉強していたことを思い出せば何とか検討がつく。物理の問題で、難しい計算問題が出たらどうしよう!と思ったが、それほど難解な問題は出なかった。
 実技試験では、やはり消火器の写真が並んでいる。写真は全てカラーだった。一問目、なんと車輪のついた消火器が並んでいるではないか!このなかで「大型に分類されるやつ」「危険物施設に設置する第5種の消火設備に該当するやつ」を選んでいく。マニアックを極めたような問題だ。
 続いて、窒素の入ったガス容器の用途を説明する問題、蓄圧式消火器のガス充填の順番を問う問題などが出た。残念ながら問題用紙を持ち帰ることは出来ない。実技に至っては、問題用紙に解答を書き込むことになっている。

いよいよ免状交付!

試験が終わり、免状交付申請書をもらって帰る。試験結果は、合格発表日に消防試験研究センターのホームページで確認できた。約2週間ぐらいで合格通知も届くから早いものである。合格通知と免状交付申請書と現金を封筒に入れて郵送すると、数週間で正式な免状を送って来てくれる。実は、試験の願書を出した時に貼った写真が免状に使われることを今更知って、ちょっとがっかりしてしまった。写真の更新は、なんと10年後!なのです。
 職場の上司に、免状取得を報告する。「ご苦労!で、今やることは?」「廊下と非常口の整理整頓であります!」消火器が活躍するようなことがあってはならない。その前に防災に対する意識作りと、自分に出来ることの実行、地道な取り組みが続く。

→次ページ〜消火器を批評する。

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