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東ドイツ行進曲

〜Im Gleichschritt Marsch!

Im Gleichschritt Marsch!

まーたすごいCDを買ってしまった。もちろんネットで検索し、購入したのだ。此のCD、どうやらドイツからの取り寄せらしく、届くのに3週間ぐらいかかったよ(笑)。

 1曲目のお題〜ネットで翻訳させた結果は「堅苦しい行進で・・・」

 軍楽隊長の号令で始まる1曲目のお題は、まさに其のまんま。ドイツ行進曲だもん、堅苦しいよ(笑)。2曲目以降はメドレー形式になっていることが分かった。約20分ぶっ続けで演奏され、雰囲気は完全に閲兵式だ。カール・マルクス・アーレで堂々の行進を披露する国家人民軍の姿が目に浮かぶようだ。

華麗なるメドレーの1曲目は、人民警察部隊の行進曲。ナチスや東ドイツ、ソ連など、言論の自由もクソもない国家にありがちなのは、国家秘密警察と刑事警察が分かれており、決まって刑事警察が格下だと云うこと。もちろん東ドイツでも、偉いのはシュタージ(国家保安省)であり、人民警察(刑事警察)は、事実上シュタージの管理下にあったも同然だった。国民はシュタージを心底恐れていたが、人民警察については「頭の悪いお巡りさん」と心底バカにしていたらしい。格下だから人材も2戦級だったのだろう。その「頭の悪いお巡りさん」の行進曲がこれまた立派なのだ。ドイツの軍楽レベルが総じて高い訳である。

とんでもない隠れ名曲〜「国家人民軍行進曲第1番」

華麗なるメドレーの2曲目は、東ドイツ史上最高傑作ではないかと思われる「国家人民軍行進曲第1番」〜うまく出来た行進曲ですよ。3分くらいで終わるのでもっと聴いていたくなる。延々と聴きたいのなら、ネットに拡散した1989年国家人民軍パレードの動画がおすすめだ。
 1989年と云えば、ベルリンの壁が崩壊した年。其の直前に、ベルリンのカール・マルクス・アーレでは、ドイツ民主共和国建国40周年記念と銘打って、国家人民軍のパレードが行われようとしていた。動画は、パレード直前の様子から始まっている。空気を切り裂くような号令が鳴り響き、いやぁードイツ語って軍隊のためにあるような言語だよなぁと思ってしまう。しかも、一糸乱れぬ集団行動は正にドイツ人の得意とする技だ。整然と整列した兵士を軍の高官が閲兵して回るのだが、高官が乗ってるクルマが古いのなんのって。いろいろ調べたら、旧ソ連の「チャイカ」と云う高官しか乗れない高級車。しかもなぁ、1989年で其のデザインはどうよって感じ。で、其の高官が閲兵する際に演奏されているのは、国家人民軍プレゼンティア行進曲〜此の曲はCD「In Reih und Glied」の最後に収録されている。凄いのは、「チャイカ」が停車したとたん、演奏も「ピタッ!」と止むのだ。明らかに異様な雰囲気でもある。

さて、動画はホーネッカーら東独首脳部が集まる会場の正面付近へ移る。国家人民軍軍楽隊が入場するのだが、音楽屋さんだけあって、背の低い隊員も多い。ただ指揮者は長身の人物で、指揮棒を華麗にグルグルと振り回している。この振り回し方を見て、高校時代の体育祭で入場行進を先導するバトン部の子がバトンを振り回しつつ落としまくっていたシーンを思い出す。此処で落としたら軍法会議もんだよなぁ。

壮観!国家人民軍の軍事パレード!

先の動画の続きだが、軍楽隊が定位置に付くと、此処からは国家人民軍行進曲第1番が延々と演奏される。最初は士官学校生徒諸君に続き、陸軍部隊(何故か其の中に一人だけ空軍の襟章を付けた兵士が混じっている。なんでやねん!)が行進し、最後は人民海軍が続く。行進はもちろんドイツ軍伝統のグース・ステップ(がちょう足行進)だ。人民海軍が格段に格好いいんだな。まるでUボート作戦で生還して凱旋しているかのようだ。何でもいいが、その会場にいる誰もが、此の後いとも簡単にベルリンの壁が崩壊し、ドイツ民主共和国と云う国が崩壊することになるとは想像していなかったろう。


↑国家人民軍勤務服(管理者コレクション)

是また面白かった〜1956年の国家人民軍パレード

さて、行進曲の話に戻る訳だが、メドレーの4曲目「Streatmarch」もいい曲だ。この曲が出て来る動画でまた面白いのを見つけた。何と、1956年の国家人民軍パレードを映した動画である。是ね、見てて呆気にとられますよ。1956年と云えば、戦後11年しか経っていない。当時の国家人民軍の制服は詰襟であり、さらに「ドイツ国防軍」の雰囲気を多分に残している。動画見てて笑ったのは、やっぱり初めに高官による事前閲兵がある。高官が乗るクルマはさらに古めかしいが、1956年だからまだ違和感が無い。此の閲兵時の演奏は、ヨルク軍団行進曲(ベートーベン!)なんですよ。(ちなみにこのCDの最後に収録されている)

カール・マルクス・アーレの正面席は、当時東独を仕切っていたウルブリヒトの姿も確認できる。こりゃ貴重な映像だわ。さて、国家人民軍の行進を見て驚くのは、歩き方がソ連風であること。しかも、正装した若い御婦人の皆様方が、兵士に一輪の花をぶん投げている。「廃墟からの復活」を掲げた東ドイツ〜一見華やかな場面に隠れて見えない苦労は想像を絶するものであったろう。

さらに隠れ名曲が続く〜「Jubelklange」

メドレー5曲目「Jubelklange」も隠れた名曲。エルンスト・ウーベル作曲で、1926年の作品と云うから東ドイツと関係ないのだな。クリンゲンタールと云う街で生涯の大半を過ごしたそうで、市立管弦楽団の監督を務めていた際に作曲したらしい。ドイツ人のあるブログを翻訳で解析してみたら、何と!札幌オリンピックの際に演奏されている?らしいのだ(覚えている人います?いる訳ないか)。どうも「旧友」に並ぶほど人気があるらしい。

メドレー以外の諸作品は、ほとんどが東独時代の官製流行歌などで、聴いた感じで駄作と云っていい。キラリと光ったのは、「人民警察プレゼンティア行進曲」そしてベートーベン作曲の「ヨルク軍団行進曲」〜ベートーベンの行進曲が名曲なのは当たり前田のクラッカーだが、プレゼンティア行進曲もなかなかの出来だ。国家人民軍プレゼンティア行進曲と極似した作風である。人民警察も、なかなかいい行進曲に恵まれていた訳だが、やっぱり彼らは頭が悪かったらしく、ドイツ統一後の「西側的レベル高すぎる犯罪」にお手上げ状態だったらしい(笑)。

「アマゾンDE」でレビューを見て一人でにんまり・・・

なかなか面白い此のCD、「アマゾン‐DE」を見たら、レビューが書かれていた。翻訳をかけて読んでみたら、是また面白い。
ダニエルパガーノ氏:「非常に良い!」と太鼓判を押されている此の方は、「まさに愛好家のための音楽!全てに完璧である。」とベタ褒め。
トーマス氏:「超良い!」と云う此の方、「国家人民軍の軍楽隊は、プロイセン以来の伝統的なドラム・サウンドを持っていた。録音も非常によろしい!」と、是またベタ褒め。
 中には、「こんな曲は発禁にしろ!」と書いてる人も。どこにもいるんだなぁ、聴いてもいないくせに、こんなこと云ってる奴。あくまで絶対音楽として聴きましょうよ。音符に罪は無いのだから。


↑なかなか豪華なCDケース


↑他に古典的な盤も多く出しているようだ

★アマゾンにあった東独行進曲のCDの画像リンクが貼れなくなりました。代わりに、カラヤンや我が海上自衛隊のCDを紹介しておきますね。


華麗なる?東ドイツ行進曲

華麗なる?東ドイツ行進曲

Im Gleichschritt Marsch!

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