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伸井太一先生著

「ニセドイツ」の世界

まずは拙者が愛読する聖書をご紹介(笑)


 東ドイツマニアにとってたまらない「聖書」が出版された。其の名も「ニセドイツ」〜シリーズ化されているが、パート1はずばり「東ドイツ製工業製品」〜よくぞ此処まで資料を集めたなぁーと言わしめる、大満足の一冊だ。此の本の特徴は、随所にダジャレ、オヤジギャグが散りばめられている。

これがホーネッカーの本音っかー?

バルカス:パイからスパイまで運ぶ東ドイツのワゴン


 出来うる限り、ラッパーのやうに韻を踏むことも忘れない、著者の執念がすさまじい。苦しいまでのダジャレは、結局のところ東ドイツの苦しいところを上手く突いていて、B級なオヤジギャグは、其のまま東ドイツのB級臭を表現している。笑いこそ強烈な皮肉・批判を生む訳である。もちろん、本場ドイツで流行った強烈な「東ドイツ・ジョーク」もふんだんに登場し、ネタを盛り上げている。  

東ドイツネタと云えばトラバント!

 東ドイツの大衆車トラバント〜一車種のクルマで、これほどまでに世界中で語られ、バカにされ、数々の伝説を生み出したクルマは無いのではないか。「ニセドイツ」においても、トラバントのネタに多くのページ数を割いており、読めば読むほど「東ドイツはやっぱり残念でした」と云う気になってくるのだ。此のクルマの低性能ぶりを示す東ドイツ・ジョークでこんなのがある。

トラバントが最高時速になるのはいつだと思う?

それはレッカー車に引かれている時だよ。



↑の画像は、本当にレッカー移動させられているトラバント。此の模型、BUBと云う1851年から続くドイツの模型メーカーなんだけど、「此のジョーク、其のまま商品にしたでしょう!」としか云いようがないな。


 珈琲カップのお皿に乗る程の小さい模型なんだけど、此のトラバントが憎めない雰囲気だ。トラバントはまことにかわいい自動車なのだ。東ドイツの人々は、まるで出来の悪い子供を可愛がる親の心境で此のクルマに接していた。トラバントとは、まさに東世界に生きる人々の悲喜こもごもをストレートに表現していたのだ。→トヨタ博物館で実物画像はこちら!

高級車「ヴァルトブルク」とは?

 此のBUBの模型だが、トラバントを牽引しているクルマは「ヴァルトブルク」と云って、東ドイツでは高級車に当たる。意外や意外、ヴァルトブルクは格好がいい。1956年に発表されたモデル「311」は、セダンからクーペまで様々なヴァージョンがあって、西側各国に輸出されたらしい。確かに「共産主義車」らしからぬ優美なデザインである。


 さっきから何故お皿の上に乗っけて撮影しているのかって?拙者が勝手に思い付いた撮影技法であります。さて「ニセドイツ」によると、第二次世界大戦終戦から10年ちょいの東ドイツ自動車産業は、ナチス時代の遺物で食いつないでいる状態だったと指摘する。ヴァルトブルク311がやたらと格好がいいのは、共産主義車以前に国家社会主義ドイツ労働車だった訳である。古いドイツ的な雰囲気が、絶妙な感じで残存したのが東ドイツと云う国なのである。時代が進み、さすがにモデルチェンジを進めたものの、やる気なさ全開のデザインは「ニセドイツ」を見たらよく分かります。


↑仕舞うとこんな感じ〜貴重な資料だ!

パイからスパイまで運んだワゴン「バルカス」


↑は、当管理者所有の古切手。「ニセドイツ」では、クリクリお目目のかわいいワゴンと紹介された。パイからスパイまで運んだのは、東ドイツ製のワゴン車が一種類しか無いもんだから、お菓子屋さんも国家保安省も此の車種を使うしか無かったと云う訳。切手に描かれたバルカスは救急車仕様で、パトランプが青色なのはドイツの伝統。

VT18気動車〜写真を見て一目惚れ

 写真は、東ドイツ国鉄が誇った特急列車VT18気動車。「ニセドイツ」に掲載されている写真に一目惚れし、何と鉄道模型を買ってしまったのであります。


 東ドイツ国鉄(Deutsche Reichsbahn)は、「ニセドイツ」によると苦難の歴史しか無い。独ソ戦によって甚大な被害を受け、復興しようにもソ連軍に線路多数を接収され、幹線の多くは複線から単線にされてしまった。ドイツ統一まで、ヒトラー時代の路線網すら回復出来なかったのである。ロシアに占領されるとは、つまりこう云うことだ。戦後、新幹線まで整備出来た日本は幸運である。

→VT18(エルンスト・テールマン号)の詳しいネタはこちらから

あゝ国家人民軍

↓は、管理者所有の「士官学校卒業生用のスカーフ」であります。


 ソ連の衛星国と化した東ドイツであったが、もちろん自前の軍隊も擁していた。其の名も国家人民軍〜「ニセドイツ」でも指摘していたが、制服の見た目が何故かナチス・ドイツ時代に酷似していた。乗馬ズボンにガチョウ足行進と、伝統的ドイツ軍スタイルが色濃く残っていたのである。詳しくは次頁を御覧いただきたい。

→次ページ:国家人民軍


↑撮影会場になった自宅Barのネタです。



ニセドイツ(1) 東ドイツ製工業品 (共産趣味インターナショナル) [ 伸井太一 ]

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